かつてない大きな「改革」には,新しい考え方を採用するのであれば,それに基づくサ ービス体系の再編・開発や,それらの担い手についても言及して欲しいものである。

おわりに
 流動的な「改革」の流れの中にある障害者福祉を,文字通り利用者本位のものにしていくために,地域においていかなる社会資源が必要であるかについて考えてきた。知的障害者の地域生活の質をよりよいものにするための社会資源と支援については,新たな仕組みの必要性の提案と新たな人材が求められていることなど,その一端にしか触れることが出来なかった。
  さらなる研究を深め,地域で暮らし始めた知的障害者の調査行うことなどによって,具体的な提案をしていくことを今後の課題としている。

 
注1: 知的障害者に他の市民と等しい生活条件を提供することという内容で生成した理念が,今日社会福祉全体としての理念として受け入れられている。
注2: 杉野昭博「「ノーマライゼーション」の初期概念とその変容」 日本社会福祉学会『社会福祉学』第33-2号(通巻47号) P190〜192
注3: 施設や病院への長期入所を避けて地域祉会での生活を可能にする方策である。
注4: 国際障害者年行動計画
注5: 昭和56年度版『厚生白書』
注6: 「プラン」の中で知的障害者更生施設を1万人分増やそうという目標を掲げて取り組むなどは,先進諸国の動きとは対照的である。
注7: 厚生労働省『知的障害児(者)基礎調査結果の概要』 平成12(2000)年度
注8: 1998年に明治学院大学において行われた「日本社会福祉学会」において,ニィリエが,わが国の「障害者プラン」において,数値目標を立てて入所型施設の増設を実施していることを,「時代に逆行している」と批判していたことを印象深く記憶している。
注9: ジム・マンセル,ケント・エリクソン編著『脱施設化と地域生活』 相川書房P4〜5
注10: 河東田博他『ヨーロッパにおける施設解体』
現代書館 2002年11月 P61〜62
注11: 前出注10 P63 表1
注12: 前出注10 P63〜65
注13: 前出注10 P10
注14: 前出注9 P8
注15: 前出注9 P8
注16: 前出注9 P8〜9
注17: 前出注9 P10
注18: 前出注10 P17〜18
注19: 前出注10 P16
注20: 前出注10 P16〜60
注21: 前出注10 P33〜35
注22: 前出注10 P35
注23: エドウィン・ジョーンズ他著『参加から始める知的障害のある人の暮らし』
相川書房 2003年 P144
注24: 研究代表者 河東田 博「知的障害者の「生活の質」に関する日瑞比較研究」
1998年3月 P17 P7
注25: 前出注24 P78
注26: アドルフD.ラッカ著『スウェーデンにおける自立生活とパーソナル・アシスタンス』
現代書館 1993年 P133
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