の」となってしまいがちであることなどは周知のことである。 これまでのサービスや専門性は,施設型福祉の中で考えられ生み出され発展してきたものである。そして,これからの利用者本位の地域生活支援は,新しい障害者観に基づく新しいサービス体系と方法を必要としている。これまでのサービス体系と方法を抜本的に見直し,それらを再編し,あるいは必要とされるものでないものは開発されるべきであろう し,そして,何よりも,新しいサービスの担い手は,発想をそして技術を大きく変えていかねばならない。 障害のある人を対等な人間として尊重する考え方のもとに,サービス体系・サービス提供の方法を,いままさに「コペルニクス的転回」させなくてはならない時期に来ている。 知的障害者に即して言っても,当然のことであるが,「本人はわからない」と捉えてきた忌まわしい歴史を返上し,当事者自らが自らの生命・生活・人生をどのような質にしていくかを決めて進んでいくことができるように,その過程で生じる困難に支援を提供していくということが大切であり,今までなかったサービスも求められていくであろう。 そこで,そのイメージの一端を示すならば,相談支援にあたる者(ニーズの把握・個別支援計画の作成・サービスのコーディネー ト・モニタリングなどを行うもの)と,直接関わっていく者(いずれも複数のチームで組むことがあってよいが)の,利用者主体の,総合的・継続的かつ一貫したものとして組織化されていくことである。直接関わる者は,従来のように「ホームヘルプ」と「ガイドヘルプ」という形で別々のサービスとして提供されるのでは |
なく,スウェーデンの「パーソナル・アシスタンス」(注31)がごとく,家でも,学校や職場でも,あるいはその間の移動も一貫して継続したものとして提供されたほうがよい。そして,この「パーソナル・アシスタ ンス」は,身体介護や家事援助のようなこれまで「ホームヘルパー」に求められてきたことに加えて,知的障害の原因・症状をはじめとして,開発されてきた自立支援のさまざまな手法の学習が必要となるし,必要に応じて利用者の個別性に合わせた働きかけのあり方を創出するような人材こそ求められよう。ま た,日中活動の場で関わる支援者は,ともに活動しうるアイディアと技術を豊富に持ったいわば「遊びの達人」のような面も併せ持つことが重要となってくる。 先に述べた「生活の質」の向上を目指す時,「ノーマルな生活環境」を「グループホーム」に限ることなく,「アパートにおける自活」や「結婚しパートナーと生活」することなども視野にいれて考え,また,地域の中に,その「ノーマルな生活環境」を利用し得る「機能性」を身につけていくための「リハビリテーション」サービスも用意する必要があろう。 また,「機能性」に制限を受けるものには,「パーソナル・アシスタンス」を提供し,そして,アシスタンスの際には,当事者が自らの生活を切り開く「意思や好み」を持ちうるような専門性を持った働きかけを行っていくことも必要となってくるものと考える。さらに,地域の相談支援を行っていく機関の大切な仕事として,地域が障害のある人と共生しうる力の獲得のためのメニューも不可欠と なってくるであろう。 そして,こうしたサービスの再編・開発を進め実効あるものにするためには,それら新 しいサービスの担うための人材が求められ る。 |
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