ここで,上式の右辺第2項は,Johansen[18]によって定式化された共和分を表し,は的確なトレンドを,は独立しな4次元の白色雑音系列を表すものとする。

インパルス応答とその漸近挙動
 r (t)ショックを受けたときの△x(t)のインパルス応答を求める。すなわち,上式(1)におけるの第1要素にショックを与えることになる。上式の確定的なトレンドを消去することにより,ゼロ状態のまわりでのインパルス応答を求めることに帰着される。インパルスショックはt=1のみ印加され,かつ,△x(t)が定常であることより,システムの状態量△x(t)および共和分を表す誤差修正項はともにt→∞においてゼロに収束する。
 式(1)を同定するとき,残差の共分散行列は一般に対角行列にはならない。Cholesky分解による分散行列の直交変換を導入した。
 △x(t)のインパルス応答に関して時刻1から t まで累積和を取ることにより,x(t)自身のインパルス応答が求まる。t→∞において△x(t)→0およびの性質が成り立つことにより,x(t)の漸近的挙動について次の関係式を得る。

  

 以上の手続きを実現する。まず,式(1)において,確定的トレンド項を0と置き,と定める。このとき同式の同式の両辺を t=1 から t=N まで足し合わせると,次式を得る。

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