ただし、

 ただし、上式右辺で第1項はからへの貢献度を表している。第2,第3,第4項も同様である。第5項は共和分がに与える影響を意味し、第6項はインパルスショックからへの影響を示す。このようにが各要素からの貢献度で分解されるのでからへの影響と からへの影響を金融波及メキャニズムの観点から比較検討する事が可能になる。
非定常な金利変数
 日本では,考察している期間に対応して,金利は定常性を示すこともあれば非定常性を 示すこともある。他の国では,金利は非定常性を呈示する場合が多い。
 上記の解析は,非定常な金利の場合に容易に拡張することができる。R(t)の代わりに 非定常な金利r(t)を代入して,変数x(t)をx(t) = (r(t), m(t), l(t), y(t) 'と定義する。x(t)の各要素が非定常となるから,1次差分△x(t) = (△r(t), △m(t), △l(t), △y(t))'のVARモデルを作る。共和分が存在するときは,誤差修正項を含んだVECモデルとなるのは言うまでも無い。ここで,インパルスショックを導入する。定常な金利の場合との違いは,前者では△R(r)≡r(t)に対するインパルスショックを考えていたのに対し,非定常な金利では△r(t)に対するインパルスショックとなることである。後者においてはt=1で△r(t)にインパルスショックを与えると,r(t)自身はr=1でステップ状の変化をし,以後,永久に一定の値を取り続ける。すなわち,
r(t)にステップ入力を与えたときの,残りの変数のステップ応答を求めることになる。定常,非定常に応じて金利r(t)に対するショックの形状が異なることになるが,いずれの場合においても,素性の知れたショック入力を印加してシステムの挙動を調べるという手法は共通である。非定常な金利においても,補題は前者の場合と全く同様に成立し,マネーサプライや銀行貸出がGDPに及ぼす影響が解析される。
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