伝統文化の実践や,文字記録だけによるのでない日常的な祀り,慣わしなどを謙虚に学びつつ,そこから,それにふさわしい学問と教育の枠組みを,研究者・教育者自らが,身心ともに用いつつ磨き出してゆく姿勢こそ,いま必要と考えられる。

 
 地域の祭りで,未成年の飲酒が問題とされる場合がある。未成年の禁酒が,法律で禁止するにふさわしいことなのかどうか,再考に値しよう。これは限定付きの「禁酒法」であつて,やはり日本のキリスト教徒の主導で制定された法律である。正月に,屠蘇を子供に飲ませたところ,法律違反だと批判されて悩んだという人が,実際にいる。(健康問題を言うなら,勉強で夜更かしするのはどうなのだろうか。)喫煙も同様で,法律により犯罪者が作り出されるので,中等教育の現場ではギスギスした追いかけつこが常に行なわれている。具体的に論ずるゆとりがないので,残念だが,間題の指摘に留めておく。
 参考文献
フロイト 『精神分析入門』懸田克躬(訳)
 1966 中央公論社
瀧井一博 『文明史のなかの明治憲法 この
 国のかたちと西洋体験』 2003 講談社
トーマース アクィーナース 高田三郎 稲垣
 良典 山田晶ほか (訳) 『トマス・アクィナス
 神学大全』1-39 2000 創文社
ユング 池田紘一 (訳) 1995 『結合の神秘
 1-2』 人文書院







   ― じつかわ みきろう ―
   国内研修:姫路獨協大学法学部教授
   指 導 者 : 国立民族学博物館 江口一久教授

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