として認識されるものが多く(注28),また,サービスメニューの制約から利用者本位のサービス提供がむずかしい現状がある。
 財源の問題について言えば,確保の道筋が示されないまま「見切り発車」のような形でその制度施行が急がれたこと,また,サービス資源も未整備のままのスタートであったため,自治体の財政状況に加えてサービス資源整備状況から市町村格差が顕著であり,受けたいサービスも資源不足のために受けられなかったりすることが多く存在する。さらに,「利用者―事業者」の契約に基づくサービス利用であるため,市町村は直接的なサービス提供から退いた形になり,サービス利用のあっせん・調整を含む公的責任が曖昧になってきているなどなどもあって,「改革」の必要性が叫ばれ,今日,「介護給付」部分を「介護保険」との統合を視野に入れた「障害者自立支援法(案)」が示され,国会の論議に付されている。
 筆者は,この法案が,「応益負担」という形で,サービス利用をする障害者の負担増を強いるということから,地域で生活を始めた, あるいは始めようとする障害者の自立を阻害するものとなりかねないことを懸念するものであるが,ここでは,「改革」の流れの中にあって,主としてどのような視点の下にどのような社会資源を必要とすると考えるかに絞って述べていくこととする。
 まず,一つ目は,法案が身体障害・知的障害・精神障害について,児童・成人をも含めて総合的にサービス提供をするという方向性を示していることは,前進として評価できよう。しかし,だからこそ「種別」「個別」の視点を忘れてはならないのではないかと考えている。「障害者自立支援法(案)」のべースとなっている「グランドデザイン案」は,新しい給付等の体系を「総合的な自立支援
システム」と銘打って,「障害者介護給付」「障害者の自立支援給付」「地域生活支援事業」の三本柱で組み立てている。そして,「介護給付」部分に介護保険と共通する内容を認め,統合していこうという方向であると予測できる。
 統合されたものの中で,真の意昧で利用者本位のサービス提供としていくためには,より「個別」の視点が求められることは言うまでもない。支援費制度では暖味であった「ケアマネジメント制度」はいっそう不可欠のものとなり,自己決定を尊重する視点と技術に習熟し「個別支援計画」を立てうる「ケアマネージャー」の存在がカギとなってこよう。この点については,「グランドデザイン案」にも,「市町村を基礎とした重層的な障害者相談支援体制の確立とケアマネジメント制度の導入」が現行制度の課題解決の中に具体的な内容として謳われているので,実現を期待したいものである。
 「障害種別」について見ると,身体障害者の場合は,社会参加への働きかけがいっそう重要である(本来ならば,高齢者にとっても「社会参加」の視点が求められてサービス体系が構成されるべきであった。しかし,「統合」が現行のサービスを前提とするものであるとするならば・・・。)という点では幾分か異なることになるものの,相対的に医療と介護が重要となってくる点は高齢者と共通の部分が多い。しかし,知的障害者にはいわば教育的アプローチというべきものが重要になってくる し,精神障害者は心理的なサポートが多種の障害より重要性が増すであろう。総合化がこれらのことを曖昧にすることにつながらないようにしたいものである。その意昧では,「生活の質」の視点から知的障害のある当事者に 即して考えると,「介護給付」と「自立支援給付」が区分されてよいのかという疑問がわく。「介護給付」のなかの「訪問介護」の
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