ーチを再評価するために,米国コロンビア大学で英語を学ぶ中級英語学習者に対する3人の大学院生の実験的英語指導における誤文訂正方法をLyster &Ranta (1997)が採用したリサーチ手法を用いて観察した。被経験者である中級英語学習者31名は13カ国からの留学生で米国滞在期間は2年半以内であった。3人のインストラクターはコロンビア大学で英語教授法研究をしている大学院生であり,彼女らの授業は指導教授の監督のもとでおこなわれた。3名の1人は広東語を母語としているが英語を共通言語とする学校で教育を受けたため外国語訛りのない英語を話すレベル,1人は日本語を母語としているがアメリカで中等教育を受けたため英語レベルは母語レベル,もう1人は英語母語話者である。3人とも英語の指導経験はない。Suzuki(2004)のリサーチ結果からもrecast訂正方法が最も多用されている誤文訂正法であることが確認できる(表4)。
これらのリサーチにもとづいて考えると,発話者の意図を変えることなく発話中の誤りを正しく言い換えることで正確な言語習得を補助しようとするrecast訂正法と発話内容をより明瞭に述べるよう求める clarification requests をTBLT指導法では
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採用すべきであると思われる。しかし,問題なのはrecast訂正法の言語習得における効果である。Lyster and Ranta(1997)はrec-astがもっとも広く使われているフィードバックであるが,生徒がrecast文を復唱するかrecast文を参考に英語表現を一部変更して再度同内容の発話を促す率は最低であり,生徒から正文を引き出すフィードバック(elicitation)が最も効果的であると指摘している。この点については,Revesz(2003)はrecast訂正法に効果がないとはいえず,学習者がタスク内容を熟知しており,目標言語の文法的特徴に学習者の意識を向けさせる効果がそのタスクにある場合には,recastによる誤文訂正を通して学習者に目標言語の文法的特徴の学習を促す可能性はあると指摘する。また,Sakai(2004)の研究からは,学習者の誤文発話直後に与えたre-castと数分間の間隔をあけてから学習者の発話内容を変えずにモデル文を与えた場合では,目標言語習得効果に相違はないものの, 誤文発話直後に与えたrecastの方が学習者の意識を目標言語と学習者の中間言語との格差に向けさせる効果が高いことが統計的にわかっている。Suzuki(2004)も学習者がフィードバックのパターンやそのフィードバック |