から目標言語の文法的特徴をどの程度習得する かは学習者の年齢,母語,日標言語を学ぶ動機,英語指導の目的などによって大きく影響を受けるとしながらも,recast訂正法は目標言語の習得を促す効果があると指摘する。Han(2002)は,(1)個々の生徒の発話に充分な注意を払える環境であること,(2)1つの文法項目にのみ生徒の注意を継続して払わせることが指導上可能であること,(3)recastによって指摘された表現が誤用であることを理解できる程度に生徒の語学学習が進んでいること,(4)recast訂正法を用いた集中的な指導が可能であること,という4条件をrecast訂正法が効果を発揮する条件として指摘 する。 生徒の誤文訂正法としてrecast訂正法を採用する場合,生徒のどのような誤りにrecast を与えるべきであろうか。Harley(1993)に よると,(1)副詞の位置のように学習者の母語からは明瞭には規則性が把握できない, (2)仮定法のようにインプットにおいて不規則および頻度が低いために顕著な特徴とはいえない,(3)三単現の s のようにコミュニ ケーションにおいては重要とはいえない,(4)間接目的語変化のように学習者が誤解する可能性が高い誤りを訂正の対象条件とするべきであるという。具体例として,I'm so boring in sc-hool. My trip to Niagara Falls was really excited. He is interested / interseting. などを挙げる。 Williams &Evans (1998)は生徒の誤文に対して明確なルール説明や否定的なフィードバックを与えず,正文を使ったrecastを多数与えるposi-tive evidence グループと正文を使ったrecastを多数与えることに加えて,言語形態,意味,言語使用に意識を向けるよう指導し,文法規則についての簡単な説明を与えるcorrective feedbackグループとを比較した。「positive evidence グルー |
プは制御群より も分詞形容詞の使い方に正確さを増す」(仮説1),「corrective evidenceグループはpositive evidenceグループあるいは制御群よりも分詞形容詞の使い方に正確さを増す」(仮説2)という2つの仮説の検証を試みた結果, 仮説2は統計的に支持されたが,仮説1は支持されなかった。つまり,正文を使ったrecast を多数与え,言語形態,意味,言語使用に意識を向けるよう指導し、文法規則についての簡単な説明を与える指導の方が正確な文法形態素の定着を一層促すと推定できる。 7.Task-Based LanguageTeachingにおける task performance の評価 TBLT指導法における評価法を考察する前に,これまでのコミュニカティブな英語力の評価法を概観したい。コミュニカティプな英語力の評価法には,例えば旧来のTOEFL(Test of Enghlish as a Foreign Language) のように学習者が目標言語構造をどの程度正確に理解しているかを多肢選択式テストなどで客観的に評価しようとする心理的言語技能測定法(psychometric measurement)とCUEFL (Communicative Use of English as a Foreign Language)のように目標言語の知識や技能にspeakingも評価対象に加えてタスク遂行を総合的に評価するコミュニカティブ言語技能測定法という伝統的な2つの流れがある。そこに,2006年以降に実施される新型TOEFLのように,短めの問題文を読み,講義の一部を 聞き,それに関してのエッセイ・クエスチョ ンに答える問題がWriting Se-ctionにあり,講義の一部を聞いてから,その内容に関する質問に口頭で答える問題と受験者の個人的考えを問う問題がSpeaking Sectionにある(CIEE, 2005)複合型の測定法が加わった。 TBLT指導法における流暢さの評価方法は主と |
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