して(1)タスクの目的,タスク処理手順,タスクの構成,タスクの遂行時間,評価基準が明記されている手順規定(rubric), (2)どこで誰が行う何のためのタスクかを被験者に伝えるデータ入力(inpu-t),(3)試験者が被験者から引出したいと考えている反応(expected respones)という要素から成り立っており,評価方法は心理的言語技能測定法(psychometric measurement)とコミュニカティブ言語技能測定法(communicative language testin-g)を折衷した方法を採用している。
 TBLT指導法における正確さの評価方法には,(1)直接評価,(2)談話分析による評価,(3)外的評価の3種類ある。直接評価ではタスクを遂行したかどうかでpass / fail 評価するにとどまる。談話分析による評価は多彩な評価が可能であるが,被験者の発話を文字化しなければならず試験者にかける負坦は大きい。しかも,談話分析による

表5  Rating scale for a map task

 評 価 
評価基準

4
細部にわたりルート上に正確に印が付けられている

3
起点と終点には正確に印が付けられているが,ルートに1つ誤りがある

2
起点と終点には正確に印が付けられているが,ルートに2つ以誤りがある

1
起点には正確に印が付けられているが,終点を含むルートすべての印に誤りがある

0
起点,終点,ルートすべてが誤っている


(Ellis, 2003, pp.299)

評価は流暢さ,複雑さ,正確さを基準に評価をするので,現実的なタスク遂行におけるコミュニカティブな行為の評価方法には適合しないのではないかという議論がある (Ellis,2003)。外的評価とは評価基準を定めて評価を下すのであるが,主観的にならざるを得ない欠点をもっているし,外的評価の基準はタスクごとに定めなければならない不便も伴う。Ellis(2003)は一例として,「特定の場所への到達方法を記 した手紙を読み,通るべきルートに印をつけなさい」というタスクに対する評価基準を挙げている(表5)。 中学生に対しては指導者が評価者を兼ねていることが多く,詳細lな評価方法は現実的で はない。
 中学生を対象とした英語会話授業における言語レベルの評価には全体的数値評価を用いているInteragency Lang-uage Roundtable (ILR, 2005)が適していると考えられる(表6)。

表6  Holistic rating scale

評 価
評価基準

5
教育を受けた英語母語話者と同じ程度に英語で話すことができる

4
英語母語話者に間違われることはないが,未知の状況であっても適切に英語で応答でき,インフォーマルな情報も処理できる

3
殆どの実用的,社会的,職業的な話題のフォーマルまたはインフォーマルな会話に効果的に加わることができる

2
日常単純に反復される祉会的要求や仕事(学習)上の要求は満たせるけれども,複雑または困難な状況を処理するには助けを必要とする

1
非常によく知っている話題については質問をすることも答えることも可能であり,旅行や挨拶においても最小限度の単純反復的な祉会的要求は満たせる


(ILR oral interview, 2005)
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